2月20日。のぞみの杜全体研修の一環として、全職員を対象に高齢者虐待についての勉強会を開催いたしました。
高齢者虐待にあたる5つの基本原則については次の通りです。
高齢者介護に従事している私達にとって、行ってはならない基本中の基本です。
ただし、言葉では理解出来ていても、家庭や施設での実際の介護現場では、どこまでが許容範囲で、「これをしてはいけない」という決まりも明確ではありません。
今回は3つの事例について考えてみました。
①薬を飲まない方に対して、食事に混ぜて薬を飲ませる。
②お風呂に入らない人に対して、ストレッチャーに身体を縛り入浴させる。
③指しゃぶりが治まらない方の指にからしを塗り、指しゃぶりしないようにする。
3つのケースは何れも、認知症や生まれながらに障害を持った方のケースではありますが、その方の尊厳を考えた上で適切なケアが行なわれているのか?
黒(×)、グレー(△)、白(○)にわけて考えてみました。
グループごとに活発な意見が交わされ、
「薬をご飯に混ぜるなんて、折角の美味しいご飯がまずくなる」と言う意見があれば
「その方の病状によっては、飲んで頂かないと症状が急変することも考えられる」
「ゼリーに混ぜるなど試してもダメなら、一つの方法としてあってもイイのでは?」
入浴についても
「1ヶ月近く入浴していない人に対して、どの方法が出来るか。その方の安全を確保したうえでの入浴介助は必要では?」
指しゃぶり行為の治まらない方に対して
「感染症の恐れや、指自体の皮膚疾患はどうなのか?」
その方が置かれた現状を想像も交えて、ケースを考え、様々な視点からの議論が交わされました。
今回の研修では、虐待や拘束に繋がる一見「不適切なケア」と思われる場面においても、その背景をしっかり踏まえ、考え、議論し、その方にとっての最良な方法を導き出すことが大切だという事を学びました。
事例にあるようなケースでは、医師、家族との協議を重ね、またご利用者本人との日頃の関わりから信頼関係を築き上げて行く事が大切だと思います。
「人権尊重とノーマライゼーションの理念に基づき、高齢者が自立し、安心して地域社会の中で心豊かに生活できるよう支援する」
虐待を未然に防ぐうえで、のぞみの杜の理念に掲げられた言葉が頭をよぎった勉強会でした。